第756話 決戦前夜③

 我がレイナのネーミングセンスに吹きそうになっているのを耐えていると...。


 ガラガラガラ。


 奥の部屋が開いて赤毛の少女が現れる。


 その両手で押してくる車輪付きのカゴの中には皆の新装備が入っていました。


 サラ(アルフィ)が我の素材をポニーと言うドワーフの少女に渡しておいたので


「ポニーさん! 皆さんの新しい装備ができたんですのね!」


 そう喜びの声をあげるエリーゼもその武器や鎧を手にすると困惑したような表情を浮かべました。


「はて? こんな色をした敵なんて倒した事がありましたっけ?」


 黒中心の赤がベースとなっている我の素材で出来た武具は相当珍しいのだろう。


 エリーゼ以外の人物も明らかに表情が固いように見える。


「こんな色の敵を倒した事あったっけ?」


 と勇者。


「い...いえ、ですが手に持っただけで分かるこの短刀の鋭さは異様ですね」


 とプラル。


 鞘から引き抜いた黒光りする刀身を眺めながらそう呟く。


「この杖...! 明らかに今までの物とは品物が違いすぎますね、サラ? これをどこで?」


 素材提供者のサラがレイナに疑いの目を向けられていたが、サラはこう返した。


「ちょっと...ね、ケロナお姉ちゃんが提供してくれたんだよ!」


 苦し紛れの言い訳ではあるがその言葉の効果は絶大だ。


「ケロナが...ですか、まあケロナならばこのくらい上等な品物を入手していてもおかしくはないですね」


「ああ、ケロナちゃんが用意したって言うんなら間違いはない」


 他の者達もそんな感じの謳い文句を掲げている。


 まさか皆がその一言で納得してしまうとは思いもしなかった。


(ケロナの仲間達にとってケロナとはそれだけ信用に足りうる存在なのだろうな...)


 約2名ほど我に不信感を持っている者もいるのだが大丈夫だろう。


 我はミカとミルシュに視線を向けて近づいてみるのでした。

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