第757話 決戦前夜④
「2人とも、ほら! 新しい武器だよ! ミカには鉄拳でミルシュには爪のようだね、どっちも手に着ける武装だから戦い方を変えなくても良いのは良いよね」
ケロナが話すように言葉を選びながら2人の緊張感を解こうとしたのだが...。
「あ...うん、そうだね」
「あはは...」
ミカはともかくミルシュにまでも妙に距離を置かれてしまう。
やはり【幻夢界】で本物のケロナに何か吹き込まれたのだと思う。
しかし、そんな素振りを見せてもこちらとしては不都合なので、どうにかしてこの警戒心を解かなくてはならない。
「2人共、ちょっといいかな?」
少しビクビクしながらも「うん」と答えてくれる2人。
「もしも目の前に見える私が別の私だったとしても、2人は怖がる必要なんてないんだよ? だってその私も2人の事を守りたいから」
その言葉を聞いてポカンとしている2人を見て優しく頭を撫でる。
「今は信用できないかも知れないけれど大丈夫、行動で示すから」
とだけ伝えておきましょう。
我が2人の緊張感をほぐしていると、ポニーと言う少女が我の刀を持ってきてくれる。
「初めましてケロナお姉様、あなたの愛刀をこの世界にある最高の鉱石とあなたから貰った素材で真剣に打ち直しました」
そう言われながら贈呈された刀は見ているだけでも全てを切り裂く圧倒的な破壊力を有しているように感じてしまう程の圧倒的存在感があるのでした。
(流石我の素材で作られた刀だな...、さしずめ【あまみん⭐︎=バスター
蒼く塗られた刀身に目に見えない程の黒い砂鉄が大量に塗り込まれており、【砂鉄】発動時の消費を抑え威力を倍増してくれる機能を果たしているように思える。
使ってみない事には分からないが、恐らくこの武器はケロナというよりも我の力を底上げしてくれる物だろう。
刀を天に掲げ、我はその刀身の美しさに酔っているのでした。
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