第758話 決戦前夜⑤

「良い出来だな」


 我はポニーという赤毛のドワーフに【あまみん☆=バスターDD】の出来栄えを褒め称えました。


「いえ、この程度の出来などではまだまだです、いつもエリーゼお姉様がケロナお姉様の事を話されていたのでそのイメージで刀を打ちたいと思っていたのですが、当の本人と出会ってみて話とは随分と違う人だなと思いました」


 その言葉にエリーゼが噛み付く。


「ポニーさん!!? お姉様の美しさを目の前にしてそう思うのはお姉様に対して失礼と言うものですよ!!」


 いつものノリで叫ぶエリーゼを見ていると少し笑える。


 なので我はケロナの様に接する。


「いやいいんだエリーゼ、私もポニーも初めて顔を合わせているんだからな、話の中のイメージと実際出会うのとでは差があってもおかしくない」


 我の言葉に彼女は肯定的な言葉を並べる。


「は...はいっ!そうですわね!! ポニーさん、ちょっと言い過ぎましたわ」


 ちゃんと謝れるエリーゼはいい子ですね。


 とりあえずポニーには何がイメージと違って見えたのか聞いてみましょう。


「ところでポニー、イメージの中の私と実際に会った私のイメージではどう違って見えたの?」


「そうですね、エリーゼお姉様の話で聞いていたケロナお姉様のイメージは潤い流れる蒼き水の様なイメージでしたが、実物のケロナお姉様はまるで黒く錆び切り果ててなお鋭さを増す黒竜の様なイメージですね」


 我はその話を聞いて僅かに口角を上げた。


「そのイメージ案外間違ってないかも知れないな」


「えっ?」


「いや、気にしなくて良い、ポニーにはポニーの思想があるだけだろう? それはそれで大事にするべきだと思う」


 彼女の話を聞いて確信した。


 やはりこの刀はケロナではなく我の強化アイテムだと言う事に。


(それならそれでありがたい、有効に活用させて貰う事にしよう)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る