第159話 【シュライン】のダンジョン⑤
「よしっ、今日はこんな物で良いだろう」
山になった魔物の死体を見て私はエリーゼに特訓終了の声をかける。
「ご指導の方ありがとうございました! ケロナお姉様!」
「じゃあ魔物の解体をしようか」
そう言ってサーシャから貰った投げナイフをエリーゼに渡す。
「解体はちょっと...」
と嫌げな表情を浮かべる彼女に私は喝を入れる。
「馬鹿っ! あんたが殺した魔物達の素材はきちんと自分で解体しなさい、じゃないとただ殺しただけになるだろ? 私達は冒険者であって快楽殺人者じゃないんだから!、それにただ殺されただけだとこの子達が可哀想だ」
そう言って目の前に積まれている夥しい数の死体を指さす私。
それを見た彼女は嫌そうな顔をしながらもナイフを受け取る。
「うっ...、わかりました」
恐る恐る解体作業を進める彼女に私は指導を続けた。
「その魔物の骨の位置はここにあるからこの辺から捌くと良い、肉は切れるけど骨は切れないからね」
「はいっ! お姉様!」
勿論彼女が貴族だろうと指導となれば遠慮などしない。
「あっ! 馬鹿っ! そこの皮は高く売れそうだから傷つけないで!」
「はいっ! お姉様!」
改めて解体し始める彼女の手際の良さを見て頷く私。
「んっ、いいんじゃない?」
「ありがとうございます! お姉様!」
1時間くらいかかったが彼女は初めての解体作業を終えることができた。
「ふうっ」と息を吐きながら血まみれになっているエリーゼに声をかける。
「よくやった」
その言葉に彼女は顔を真っ赤にして喜んでいるように見えた。
「レイナもサラも結界を張ってくれてありがとう! おかげで解体作業が捗った!」
私の言葉に彼女達は余裕の笑みを返してくれる。
「ケロナお姉ちゃんのお願いならなんでも聞けるよ!」
「私は一流の【魔女】ですからこのくらい当然ですよ!」
2人とも本当に頼りになるなと思いながらもエリーゼの様子を伺う。
...。
流石に消耗しているなと思った私は「今日は引き返そうか」と自分から言うのでした。
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