第172話 【シュライン】の朝②

 私が着替えて外からに出ると既にサラとレイナは準備ができていたようだ。


「お姉ちゃん!」


 いきなり抱きついてくる妹をちゃんと受け止める私。


「ほらっ、大丈夫だっただろ?」


 私は妹に微笑みかけながら微笑んだ。


 その様子を後ろで見ていたエリーゼはふくれっ面だったけどね...。


「お姉様! サラばっかりずるいです! 私も抱きしめてくださいまし!」


 そう言いながら突貫してくる彼女には水を顔面にぶつけてあげた。


 ビシャ! と言う水の弾ける音と共に彼女の顔面洗浄が終わる。


「えっ...?」


「エリーゼは昨日たっぷりとかまってあげたでしょ? だから今日はそういうの禁止」


「そ...そんな〜!! 酷いですお姉様と私の仲じゃないですか〜!」


「私とエリーゼの仲は依頼でパーティを組んでいるだけの仲でしょうが」


 正論を言い放つと彼女の頬は膨れ上がってしまう。


「ですけど! ですけど! 私はケロナお姉様に特別な感情を抱いているのです!」


 仲間の前でそれ以上の地雷発言はやめて欲しい。


 ほら、レイナなんかちょっと引いてるぞ?。


「えっ...? まさかエリーゼさんってそう言う趣味があるんですか?」


 ひきつった笑いを浮かべながら「ははっ...」と小さく笑う彼女の瞳は光っていない。


 まるで生ゴミでも見るような目でエリーゼを見つめています。


(まずいな...)


 これ以上はいけないと思った私は、さっさと朝食を済ませてダンジョンに向かうのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る