第547話 かつての仲間達との決闘④

 私が倒れたであろうレイナを確認する為に壁の向こう側に回り込もうとすると...。


 ザッ! と言う人の動く音が聞こえてきました。


 私は彼女の特攻を待ち構えて応戦します。


 案の定彼女は自身に身体強化の魔法をかけて肉弾戦を仕掛けてきました。


 でもそれは本来魔法職であるレイナがいきなり特攻を仕掛けてくるからこその初見殺しであり、彼女が格闘戦もそこそこいけると分かっている私に通じる手ではありません。


 大体、私とレイナでは身体能力が違いすぎました。


 いくら補助魔法で身体能力を上げたとしたも所詮は魔法使いの肉体。


【魔物】の強度には程遠く及びません。


 つまり、私は彼女の拳を受け放題。


 しかし、彼女は私の拳1発でワンパンという理不尽過ぎるほどの差があるのです。


 今もこうして彼女の拳を何発か急所にもらいましたが、むしろ【蒼極】のオーラによって守られている所為で彼女の肉体の方にダメージが通っていました。


「くっ...!」


 彼女は肉弾戦が不利だと判断すると後ろに飛び退いて再び魔法合戦を行ってきます。


「【私の物語レイナ・エピソード】!!」


 先ほどと同じく想像を絶する閃光が私を包み込む!!


 至近距離からの最強魔法はインパクトがありますが、私には効きません。


【蒼極】のオーラが私の身を守ってくれているのですから...。


 無傷で佇む私を見て彼女は言いました。


「相変わらずインチキくさい能力ですね...、これだけの至近距離で撃ってもノーダメージですか...」


 彼女の顔は若干ひきつっていましたが、少し笑っているようにも見えるのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る