第546話 かつての仲間達との決闘③

「あれが記憶の戻ったケロナの実力ですか...」


 そう言いながら私に杖を振りかざすレイナ。


「【強・電撃ギガ・サンダー】!!!」


 勢いよく凄まじい落雷を落としてくる彼女に対し、私は【次元龍】の力を使いません。


 砂鉄で避雷針を作るのが最も合理的な方法ではあるのですが、砂鉄は私の力ではないので使う訳にはいきませんでした。


 あくまでもこの決闘は私個人の力を仲間に見せつける物なので、他人の力を使うのはルール違反だと思ったからです。


 なので【蒼極】を扱い彼女の電撃を私は真正面から受け止めました。


 水使いの私に電撃を打ち込むのは戦術としてとてもセオリーな戦法ですけど、私にはもう電撃は効きません。


 レイナクラスの魔法使いですら完全に使いこなした【極限】能力の前では無に帰すのです。


 完全に直撃したはずの電撃でさえ【蒼極】の力により蒼き電撃と変換して吸収してしまうのだから...。


「お返し【ケロっとすぱ〜く☆】」


 再びお返しの電撃を繰り出す私に彼女の回答は...。


「【石の壁ストーン・ウォール】!!」


 土魔法を操り地面を盛り上げて壁としました。


 魔法の教科書があるのならこの回答は100点満点中100点の回答でしょう。


 ...。


 私は指先で電撃のコントロールを行い、彼女の壁を無視するように誘導しました。


 突如変な挙動で壁を乗り越えてくる私の電撃に驚きの声を隠せないレイナの声が聞こえる。


「なっ!? 魔法職でもないケロナがこんな細かいコントロールをできるんなんて!」


 それも上左右の3方向から乗り越えると言う荒技を繰り出したので当然でしょう。


 電撃の魔法を繰り出し、それを3つに分けてコントロールをする。


 こんな細かい芸当は本職の魔法使いでも難しい神業だとは思いますが【極限】の力を解放した私にとっては息をするかのように行えてしまうのです。


 バチチチ!!!!


 凄まじい電撃音が鳴り響く中、黒焦げになったであろうレイナが膝を着く音が壁の向こう側から聞こえてくるのでした。

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