第268話 【下級職】【村娘】

「そうですね...、村娘にも一応職業専用の恩恵はありますが...」


 相変わらず歯切りの悪い彼女を急かす私。


「なにっ!? 村娘専用の恩恵って!」


 もしかしたら強くなれる道筋が立てられるかもと思った私は彼女に問いただしたのだが...。


「ええと...、【村娘】は全ての職業に就ける可能性があるので、先ほど話した【レベル補正】によって全ての能力値が平均的に上がっていくと言うのと、家庭料理が上手になりやすい...と言う恩恵が...」


「...なにそれ...」


「だからまあ...、ケロナの料理が美味しいのはきっと村娘の恩恵が効いているんだと思い...ますよ?」


【レベル補正】は私にとって意味ないし、家庭料理が上手になりやすいなんて戦闘ではなんの価値も見いだせない。


 これから先、エルサのように強力な【大帝の眷属】が現れるかもしれない事を考慮すると、やはりいつまでも【村娘】でいる事の無駄さがこの話を通してよ〜く分かってしまう。


 一瞬取り乱しそうになった私ですが、どうにか抑えて抜け道がないのか彼女に聞いてみましょう。


「ねぇ...レイナ、本当にレベル20になってギルドで職業に就く以外の方法で別の職業に就く事はできないの?」


「それは...、ギルド内に圧力をかけれるだけの権力とお金が必要ですねぇ...、低レベルで上級職に就いている冒険者の殆どが金持ちのボンボンなのが何よりの証拠です」


「ギルドに圧力をかけれるだけの権力とお金ねぇ...、今の私達じゃあどっちにせよ無理だよね」


 私とレイナの話し合いの結果、やはりレベル1のまま転職する事は不可能なようです。


 お先真っ暗になった私は大きく「はぁ...」とため息を吐きながら、先に眠りに着く事にするのでした。

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