第268話 【下級職】【村娘】
「そうですね...、村娘にも一応職業専用の恩恵はありますが...」
相変わらず歯切りの悪い彼女を急かす私。
「なにっ!? 村娘専用の恩恵って!」
もしかしたら強くなれる道筋が立てられるかもと思った私は彼女に問いただしたのだが...。
「ええと...、【村娘】は全ての職業に就ける可能性があるので、先ほど話した【レベル補正】によって全ての能力値が平均的に上がっていくと言うのと、家庭料理が上手になりやすい...と言う恩恵が...」
「...なにそれ...」
「だからまあ...、ケロナの料理が美味しいのはきっと村娘の恩恵が効いているんだと思い...ますよ?」
【レベル補正】は私にとって意味ないし、家庭料理が上手になりやすいなんて戦闘ではなんの価値も見いだせない。
これから先、エルサのように強力な【大帝の眷属】が現れるかもしれない事を考慮すると、やはりいつまでも【村娘】でいる事の無駄さがこの話を通してよ〜く分かってしまう。
一瞬取り乱しそうになった私ですが、どうにか抑えて抜け道がないのか彼女に聞いてみましょう。
「ねぇ...レイナ、本当にレベル20になってギルドで職業に就く以外の方法で別の職業に就く事はできないの?」
「それは...、ギルド内に圧力をかけれるだけの権力とお金が必要ですねぇ...、低レベルで上級職に就いている冒険者の殆どが金持ちのボンボンなのが何よりの証拠です」
「ギルドに圧力をかけれるだけの権力とお金ねぇ...、今の私達じゃあどっちにせよ無理だよね」
私とレイナの話し合いの結果、やはりレベル1のまま転職する事は不可能なようです。
お先真っ暗になった私は大きく「はぁ...」とため息を吐きながら、先に眠りに着く事にするのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます