第307話 就寝④

「では誓いのキスを...」


 そう新婦に言われた瞬間にケロナお姉様の顔が近づいてきました。


(私...! もしかして本当にケロナお姉様とキスをしてしまうんですの!?)


 そう思うとどんどん体が火照ってしまう。


 ただのキスだと言うのに、お姉様が相手だと特別な感情が遺伝子から溢れ出してくるようでした。


「エリーゼ...」


「お姉様...」


 ようやく決心がついた私は体をお姉様に預けてゆっくりと目を閉じました。


 唇がお姉様に触れ合おうとした瞬間!


「おいっ! エリーゼ! やめろって!」


「えっ...?」


 突然そんな声がしてきたので驚いた私は目を見開きました!


「エリーゼ! どうしたんだ! 急に私を抱きしめたかと思ったら顔を近づけてきて! なにをする気!?」


 目の前に映るお姉様が突然そんな事を言うので驚いてしまいます。


「なにをする気って...、近いのキスを...」


「誓いのキス!? 私とエリーゼが!? そんなことしないでしょ! 女同士で普通! ないないない!」


 何かおかしいなと感じた私はよく周りを見てみました。


 すると、そこは教会ではなくケロナお姉様の服装もいつもの青い雨ガッパに赤マフラーという旅用の衣装だったので驚いてしまいます。


 しかも私は...。


「きゃっ!! お姉様! 私の衣服を剥ぎ取るなんてなにをする気でしたの!? でも...お姉様が相手なら私...♡」


 顔を真っ赤にしながらそう呟いていると、中々威力のあるチョップが飛んできました。


「何もしないし早く服を着なさい!」


 そうわ言われて服を突き出される私。


 流石にそこまで言われると何かがおかしい事に気がつき考える私。


 そしてとある現象に行きあたった。


(もしかして...、先程までの結婚式は私のでしたの!?)


 そう思うと今のお姉様の塩対応も納得がいきます。


(でも...、ケロナお姉様になら塩対応されてもちょっと良いかもしれません♡)


 乾いた和服を手にした私は静かに着替えるのでした。

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