第456話 勇者の決意
私達が準備を終えて【ガライ】に向かおうとしていると...。
「ケロナちゃん待って!」
と勇者キィアが私に声をかけてきました。
「キィア? 何?」
「...」
なかなか言葉を出さなかった彼だったが、覚悟を決めたかのような表情でこう呟いた。
「俺も連れて行って欲しいんだ、あの邪悪な本【聖典】を破壊する旅に」
「...キィア、本気で言ってるの?」
「俺は本気だ! 仲間を皆殺しにされて黙ってられないんだ!」
そのやりとりを見ていたアポロが笑いながら私とキィアの話に入り込んできました。
「誰かと思えばレベルが高いだけの無能勇者君じゃないか」
「なにっ!? そう言うお前は誰だ!?」
「失敬、僕の名前はアポロ、由緒正しい貴族の出とだけ言っておこう」
「そちらが名乗ったからには俺も名乗っておこう、俺は勇者キィア! 【白銀の勇者】の生まれ変わりさ!」
「【白銀の勇者】ねぇ...、だったらこの前の無様な敗戦はなんだ?」
「そ...それは...」
口籠るキィアをアポロは責め立てる!。
「本当に勇者なのか? 君は? 仲間を全員殺されて自分だけがのうのうと生き残り生き恥を晒してまでも強いチームに入れて貰おうとしている自分が浅ましいとは思わないのか?」
「...」
キィアは一瞬黙ってしまったが、すぐさま声を出してこう言いました。
「そこまで言うのならお前は強いんだろうな?」
「僕か? まあ武芸も一応極めてはいるからな、少なくとも目の前にいる情けない勇者君よりかは技量が上だとは思うけど...」
「なら話は早いな、抜け! それが1番早い!」
そう叫びながら剣を引き抜くキィアと苦笑を浮かべたままレイピアを引くぬくアポロ。
2人の戦いが急行われる事になって困惑する私達でしたが、アポロの実力を知るにはちょうど良い機会だと思い黙ってやらせておく事にするのでした。
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