第342話 作戦会議③

「私は後衛から魔法でダメージを与える役割です!、いざという時にはサラを皆さんに任せて注意を引く役も引き受けますが、できるだけエリーゼさんに敵の注意ヘイトを集めて欲しいんですよ」


「私の役目くらいは分かっていますよ! それが壁役である【聖騎士】の役目ですからね!」


 相変わらず調子の良い彼女の言動に私は翻弄されてしまいます。


(本当に分かってくれているのでしょうか?)


 しかしながらここぞと言う時にはいつも良い感じの活躍をしてくれているのは確かなのだし、ここは信じてみてもいいでしょう。


 ...。


(いや...やっぱり不安ですね...)


 無理にそう思おうとしていても、やはり心のどこかで彼女の事を信じきれないでいる私がいました。


 一応の作戦会議を終えた一同は古塔に向かって再度歩き始める。


 遠くから見ていると小さく見えていた古塔ですが、近くまで来てみるとやはりなかなかの大きさだと思います。


 さらにざわつく周りの空気感を肌で感じた瞬間から、この塔に奴がいるのだと直感できました。


(凄まじい魔力の気配を感じる...、この塔の最上階から...)


 私が視線を塔の頂上に合わせると奴もこちらの存在に気がついたのか甲高い声を上げているのでした。

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