第652話 犠牲者達③

 私は自分が殺したハルトとアイナの墓を作ってあげました。


 せめて自分が殺した者の墓くらいは作っておこうと思い立った私は、先まで戦っていた場所に人数分の墓を建てました。


 墓を建てるとは言ってもただ石を乗っけてその下に屍を埋めるだけですけどね...。


 人数分の死体を埋め終わった後に追加でもう一つ墓を建てました。


「これはペリア、貴方の墓よ...」


 そう言いながらナナシの墓の前に花を置く私。


 そうとも知らずに未だペリアを探し続ける声が聞こえてくるのだが、私はそれから目を背けるように背を向けました。


「ミカ、行くよ」


 私の言葉と共に歩き始める弟子のミカと共に外門があった場所に戻りこの王国をもう一度だけ見直してみた。


 あれだけ綺麗だった街並みは完全に消えて無くなり、今では崩壊した国の情景のみが映し出されている...。


 おいしかった中華料理店もパンケーキ屋も無くなってしまった事を思い出すと悲しさが増してくる。


(あのラーメンとパンケーキはミカと一緒に食べたかったな...)


 そう思いながらも私は新たな旅に出るのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る