第715話 【白銀の勇者】

「私達【大帝軍】が世界のあちこちを侵略していると、我ら【眷属】に抗う者達が現れたとの報告が来たの、最初こそ私達は全員が笑っていたわ、何故ならこの世界に強者はいないと踏んでいたからね」


 ライファー様は苦笑しながら続ける。


「でもね、本当は違ったの...、この世界にも【強者】はいた」


「この世界の【強者】?」


 私にも信じられない。


 レベル250程度の怪物を天災と呼ぶくらいの世界の住民達からすれば【眷属】でさえ手に負えない集団になる筈だ。


 ましてや【帝王】達と戦えるはずなどない。


 しかし、彼女の口調から読み取る限りでは【帝王】と戦えていた者たちが存在していたのだと言う。


「それは誰ですか?」


 私の質問に彼女は答える。


「分からない? あなたもこの世界で聞いた事くらいはあると思うわよ」


「私でも聞いた事がある?」


「ええ、必ずセットになっているでしょう? 【大帝】と【次元龍】の戦いとくればついてくる名前」


 少し考えてみると分かる話でした。


 私は思い当たるその者の名前を口に出してみます。


「【白銀の勇者】ですか?」


 その言葉に静かに頷く彼女なのでした。

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