第827話 私の実力

【あまみん☆=バスターDDF】を構え直して息を整える私にアポロ(ファウスト)は苦笑していました。


「今に分かる? 何がだ?」


 彼はそう言いながらパチンと指を鳴らして魔法を詠唱します。


「【炎帝の鉄槌】!!!」


 激しい炎の波が鉄槌となりて私に降り注ぐのですが...。


 ブンッ!!


 私はそれを刀を一振りで無に返す。


「...はっ?」


 魔法を使った訳でもない。


 私はただ刀を振った風圧のみで奴の獄炎を屠る。


「ば...馬鹿な!?」


 驚きながらも次々に魔法を放ち続ける彼。


「【大帝の封殺フリーズ・シェル】!!」


 先程とは打って変わり極度の低温を誇る氷の貝殻の出現に私は思わず...。


「綺麗だね...」


 と呟きながら刀を一振りする。


 バキバキバキン!!!


 氷でできた私用の檻は一瞬にして砕け散る!!!


「ぐっ!? これならどうだ!!!」


 とどめとばかりに砂鉄の海を繰り出してくる彼に私は呆れていました。


「...もう終わりにしましょうか」


 私は荒れ狂う砂鉄の海を【あまみん☆=バスターDDF】の力で抑制し道を切り開く!!


 突如として砂鉄の海が真っ二つに裂かれた瞬間の彼の顔は見ものでした。


「...なに?」


 彼の魔法は全て最高クラスの魔法です。


 それは間違いないですしこの世界に置いて並ぶ者無しと言える実力者でしょう。


 しかし、それはあくまでも【大帝】と【次元龍】の力を完全に使いこなせていればの話です。


 今の彼はせいぜい【炎帝】に毛が生えた程度の実力でしかないのでした。


 それでも充分な力を持つであろう彼の体を切り裂く私。


 ザシュ...。


 確かな手応えを私は刀越しにかんじる...。


 肉を裂く感覚に私はこう呟いた。


「私の勝ち...」


「ケロナ...あまみん...☆!」


 最後に血を吐きながら倒れ伏した彼の姿を見て「終わった...」と呟く。


 私が勝利できたのは言うまでもなく【次元龍】に【大帝】と言う2大巨悪のどちらもがアポロに本当の意味で力を貸していなかったからでしょう。


 仮にどちら一つでも力を使いこなされていたら私に勝ち目はありませんでした。


 私の勝利を見届けたリュアが私に近づいてこう呟く。


「終わった?」


「...終わったと思う」


「じゃあ帰ろうか、【次元龍】も倒したしもうこの次元に滞在する意味もないでしょ?」


「...ちょっとだけ待ってくれないか?」


 私の言葉に彼女は「なぜ?」と答えてきたのでこう返しました。


「...せめてお別れの言葉くらい皆に言っておきたいから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る