第678話 【ターランド王】③

「何こいつら!」


「ママっ! こいつら無限に沸いてくるよ!!」


 ミカとミルシュが赤い触手達と戦っている間に、残った触手達が女性の巨人を包み込み、回復させました。


 いや...、回復させただけではありませんね。


 女性の巨人の後ろには赤い肉片が集まっていて、女性の背中に男性の上半身が出ているような形態へと進化していました。


 全身が赤い血のような色なので非常に目に悪い。


 私が普通の人間だったならばこの血の匂いとあのグロテスクな見た目で精神的にやられていましたが、おあいにくさま、私はそう言うのには慣れています。


(一体私がいくつの肉を解体してきたと思っているの?)


 そう、目の前に存在するグロテスクな赤い肉の塊も、食べるための食肉だとでも思えば問題ありません。


 寧ろミルシュなんて「ジュルリ...お肉」とか言いながら涎を垂らしている始末。


「ママ! あれ倒したら焼いて食べようよ!!」


 笑顔で悪意なくそう叫ぶ彼女に私は「ええっ...」と私も動揺を隠せない。


(アレを食べようとしているの? そんなのミルシュだけだよね? でも食べたいのならスタンダードに塩焼きで良いかな?)


 そうは思いつつも真面目に調理方法を考え始めるのでした。

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