第690話 【風帝】ライファー
【風帝】を名乗る彼女は私に声をかけてきました。
「まさかあの【次元龍】がこんな可愛い入れ物を依代にしちゃうなんて思わなかったよ、あっ、これは嫌味じゃないからね、寧ろ嬉しい限りだよ、これから私達【帝王】の前に立ち塞がるであろう強敵がブサイクな入れ物じゃなくてよかったと思ってるからね」
意外とフレンドリーに話してくる彼女には聞きたいことが沢山あります。
「さっきまでターランド王が抱きしめていたはずのお前がこの国の女王だったのか?」
私の問いに彼女は「そうよ」と答える。
「だったらなぜ女性に対してこんなに厳しい政策を取らせていた? 貴女の国でしょ?」
この問いに彼女は笑っていいました。
「なぜって言われてもねぇ...、そこの老けた王様、ターランド王が自分の妃しか愛さないとか抜かしだしたからだとしか言えないかしら」
「なに? どう言う意味だ?」
「簡単な話だよ、そこのターランド王の容姿が気に入った私は彼に求婚したの、でも振られちゃったから仕方なくお妃さんを殺して入れ替わって過ごしてたんだけど、途中でヘマしてバレちゃったんだよね〜」
彼女はそう言いながらもどことなく嬉しそうに話を続ける。
「仕方がないから彼も殺すことにしたんだけどさ、ただ殺すだけじゃ味気ないでしょ? だからこうして彼の愛した国を少しずつ無茶苦茶にしてあげたんだ、そしたらさ泣きながら許しをこうてくるけど遅いよね? 徐々に人口を減らして最終的に滅亡するように仕向けただけだよ、そしたらさ、こいつすぐに老人化しちゃったんだよ、この老いたイケメンの素顔を見てよ、どう見ても70歳くらいの男に見えるけどまだ30後半のいい男だったんだよ」
サラッとえげつない行為を口に出す彼女の言葉に【眷属】味を感じる。
「【帝王】だのなんだの言っておいて、結局お前も【眷属】なんだろう?」
私の問いに彼女は答えました。
「そうよ、私は【大帝】様をお慕いする【帝王】達の1人、【風帝】のライファー」
「やはりか...」
こうして相対しているだけでも今まで戦ってきたどの【眷属】達よりも数段回上の嫌な気配を感じる。
それも今まで感じた中でもとびっきり悪質な気配なのがやばい。
私は息を呑みながら目の前に現れた【帝王】の一角の姿に視線を当てるのでした。
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