　皆と話をしていると心地良い...。

　我は今までのケロナの行動を全て話した。

「私からの話は以上だよ」

　そうすると皆の表情は少し暗くなる。

「そうですか...、この異常な寒気は【大帝】が復活した影響なのですね」

　この寒気は世界中に影響している為、レイナ達も気にはなっていたようだ。

　一瞬だけ皆が黙り込む時間があったのだが、それを切り返してくれたのが妹であるサラだった。

「でもさ、ケロナお姉ちゃんが帰ってきてくれたんだから大丈夫だよね？　私達はずっと【大帝】の【眷属】と戦ってきたんだし、ケロナお姉ちゃんさえいれば今回もきっとなんとかなるよね？」

　そう呟いてくる妹に我はこう答えた。

「その事なんだけどさ、私はもう【大帝】との戦いに貴方達を巻き込みたくないと思っているんだ」

　私の声に皆がし〜んとした。

　以前にもケロナは同じような理由で彼女達の元を去っている事を記憶越しに理解しているのだが、それでもこれだけは言っておかなくてはならなかった。

　我は皆をこ（・）の（・）世（・）界（・）か（・）ら（・）逃（・）す（・）為（・）にこの場所へと寄ったのだ。

　本当ならばあのまま【大帝】と決着をつけるのが1番ベストな状況だったのだが、もしも我が敗れた場合を考えた時にどうしてもケロナとしての意識が残されたこの子達の未来を危惧してしまい、戦闘に集中できなくなってしまったのである。

「だから...さ、皆でこの世界を捨てて新しい世界に逃げようよ！　【大帝】達はこの世界の人間を殺し尽くすつもりだけど、別の世界に逃げ込めば簡単には追ってこれないし、なんならそこまで追ってこれるだけの力はないからね」

　その言葉を述べた瞬間にレイナが口を動かした。

「ちょっと待ってください、別（・）の（・）世（・）界（・）に（・）逃（・）げ（・）る（・）っ（・）て（・）ど（・）う（・）言（・）う（・）意（・）味（・）で（・）す（・）か（・）？」

「言ったままの意味よ、この世界以外の安全な世界に皆で移住するの、言語や通貨が違うから最初は戸惑うかも知れないけれど、比較的に問題のない地域を選ぶつもりだから安心して」

「いや、そういう訳ではなく、一体どうやってこの人数を連れて異世界に飛ぶつもりですか？　そんなの私レベルの魔女でも簡単な事ではないんですよ？　高等な魔法陣を今から組み込んでそれを人数分確保するなんて無理難題を提案しないでください！」

　我は彼女の声を聞いて鼻で笑う。

　そんなのは【次元龍】である我にとって息をするくらいに簡単な事だ。

　我ならば面倒な魔法陣を製作する事もなくただ飛ぶだけで他の世界を行き来することができる。

「大丈夫だ、ちょっとした手があるからここにいる全員を別の場所に送るくらいなら問題ない」

　と、そう呟く我の言動にエリーゼが声を出す。

「ケロナお姉様...、ここにいる全員という事は私の家族やシュラインの皆さんはどうなるのですか？」

　彼女の言葉に我は一瞬だけ口を止めたのだが、言うしかないので言葉にして告げるのでした。

「...冷たいようだけど私が送れるのは貴方達だけだよ」

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