第409話 決勝戦 ④
「どうして...」
俺はそれ以上の言葉が出なかった。
気がつけばパーティは半壊、敵はほぼ無傷の状態になっている。
しかし、俺の体は動く。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
剣を片手にケロナちゃんに斬りかかる!!!
全身全霊を込めた一撃で彼女を襲ったのだが...!
「ッ!!!」
俺の攻撃はいとも容易く躱されてしまい、1発顔をぶん殴られる!
ミシッ...と言う音が顔面越しに聞こえたかと思ったら壁際まで飛ばされる俺。
自前で回復魔法をかけてなんとか立ち上がる俺だったが...。
(一撃が...重い!!)
レベル150の【勇者】である俺がたった一撃でここまでのダメージを負うとは想像もしていなかった。
しかも重いだけではない。
凄まじいスピードで俺との距離を詰めて連続で殴ってくる彼女の表情は氷の様に冷たい。
(速い!!)
「ぐっ! がっ! っ...!」
必死に剣を振るうのだが、彼女の拳の方が遥かに速い。
俺の攻撃は彼女に届く前に全てシャットアウトされてしまっている。
あまりにも一方的すぎる展開に思わず言葉を漏らす。
「こんなはずは...こんなはずはないんだ...! 俺はレベル150の【勇者】なんだから...! 負けるはずがない!」
俺のその言葉を聞いた彼女は呆れたようにため息を吐いた。
「これに懲りたら戦闘に置いて自分の方がレベルが高いからって絶対に格上だなんて思わない事ね、常に自分は相手よりも格下だと思う事で成長できる事もあるだろうから...」
「ッ!! 黙れ!」
好きな女の子のアドバイスに逆ギレするかの如く大声をあげる俺は最低です。
感情に身を任せた戦い方ではケロナちゃんに勝てるはずもありません。
この日、俺達【勇者】パーティは【ケロっと☆】に敗北してしまうのだった...。
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