第603話 白トカゲ

 私達は【白トカゲ】の発見場所である森の中を歩き続けていました。


「師匠、今回も私にやらせてよね」


 ミカが突然そのような事を言ってきたので譲る事にしましょうか。


 恐らくこの前の【風龍】討伐で自信がついたのでしょう。


 彼女はウキウキ気分で森の中を歩き続けています。


(全く、仕事だって分かっているのかしらね...)


 そう思いつつも私はあえて何も言いませんでした。


 ミカの実力は大体わかっていますし、今更【A】ランク程度の魔物を相手に深くを取るような娘でもない事はわかっていますしね。


 そうこうしていると【白トカゲ】のいる洞窟に辿り着きました。


「じゃあいきましょうか」


 私がそう呟きながら洞窟内へと侵入してみると、標的がいました。


 あちらさんもこちらを見つけてくるや否や咆哮を上げて威嚇してくるのだが、流石に【風龍】と比べると迫力がない。


 ミカはニヤリと笑いながら【硬質化】と【捨て身】の同時併用で悠々と噛みつき攻撃を受け切る!


 鎧でさえ砕くであろう【白トカゲ】の噛みつきも今のミカには効かないばかりか自身の牙が砕けてしまったようだ。


「ギシャ〜!!」


 苦しむ白トカゲをパンチ1発で制してしまうミカ。


「あれっ? もう終わり?」


 ぱんぱんっと手をはたきながら倒れた白トカゲを見つめています。


「早かったな」


 私はそう言いながら【白トカゲ】の解体をしていて気がついた事がありました。


「んっ...? この個体...、卵持ってる!」

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