第656話 ミルシュ②

「わぁ! 凄い!! ママ早〜い!!」


 そう言いながら背中できゃっきゃっとはしゃいでいるミルシュを見ているとサラの事を思い出してしまう...。


(大丈夫さ、サラはレイナや皆と一緒だ...、何も心配する必要なんてない...)


 私は自分にそう言い聞かせながら彼女に言いました。


「ミルシュ、あんまり背中の上ではしゃがないの!」


「は〜い! ママ!」


 私の言葉に笑顔で答えるミルシュを見ていると少し嬉しくなってきます。


 何故なら、まるでサラと一緒に旅をしている様な気がしますからね。


 私は自然と笑みを溢しながら森の中を走り抜けていきます。


 その道中にミルシュがミカの方を見てこんな事を言いました。


「ミカも結構早いねぇ! でもママほどじゃない!」


「うるさいなぁ、大体師匠の身体能力がおかしすぎるんだよ! 子供1人背負ってそのスピードって早すぎでしょ!」


 突然私の足の早さについての話題が始まる。


「師匠が強いのはきっとこの早さがあるからだよね? ゴーレム種の私じゃあそこまでのスピードはなかなか出せないからなぁ...、どうにかして師匠に一泡吹かせるには最低限の早さも大事だけど防御面を高めて攻撃を耐えてからのカウンターを狙うとかしないとダメだよね」


「ふっふっ〜! ミカじゃママにかすり傷一つつけられないよ〜だ!」


「あっ! 言ったな〜! 師匠! また今度組手しようよ! ミルシュに私がどのくらい強いのか教えてあげたいからさ!」


 何やら2人が盛り上がっているとようやく村らしき物が見えてきました。


「2人とも、お喋りはそこまで、とりあえずミルシュの旅用の衣装を揃えるよ」

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