第321話 1人でゆっくり

 〜1週間後〜


 しっかりと準備を終えた皆が出発するのを見送った私は1人だけ宿の個室でくつろいでいました...。


(強くなったレイナがいるし陣形の練習も皆上手くできてた...、何も心配することなんてないだろう...)


 椅子に座って外を眺めていると、辺りは日当たりも良くお出かけ日和です。


「ちょっとだけ出かけようかな...」


 そう思った私は外に出ました。


 しばらく鼻歌を歌いながら町を探索していると甘い香りが漂ってきたのでそちらに引き連れられてしまう私。


(なんだろうこの甘い匂い...)


 懐かしい香りの登場についつい体がそちらに向かってしまうのでした。


 〜饅頭まんじゅう屋〜


(こんな所に饅頭屋さんがあったのか...)


 そう思いながらも私は店に入る。


「いらっしゃいませ〜、お一人様ですか?」


「ええ」


「ではこちらにお座りください、ご注文はお決まりですか?」


「ええと...」


 私はメニュー表を眺めながら1番物を選びました。


「この大福を2つ頼む」


「大福を2つですね! 分かりました!」


 ふうっと一息を吐いた後になってからあれっ? と気がついたことがあります。


(なんで私は大福を見てって思ったんだ?)


 今まで食べた事がないはずの物に懐かしいと言う感情が湧くはずありませんから、う〜ん? と考え込んでしまうのでした。

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