「今までありがとう？　訳の分からない事を言わないでください！」

　レイナの感情が今爆発した。

「ケロナ！　言っておきますけどね！　私はまだ貴方の力の秘密を解明してないんですよ！？　そんな状態ではい！　さようなら！　なんて出来るわけないじゃないですか！！　それにサラはどうするんですか！？　貴方の妹なのでしょう！？」

「サラは...、私の本当の妹じゃない...、それに今は立派な魔法使いになっているし良い師匠までついている、私が居なくなっても問題はない、だから...ね、サラの事はレイナに任せる」

　私の出した言葉に彼女は驚きのあまり口を震わせていました。

「まさか...、その言葉を本気で言っているんじゃないですよね？」

　ワナワナと体を震わせる彼女に私は言いました。

「私は本気だよ、もしも私の力の秘密が知りたいと言うのなら、レイナにだけには私の力の秘密を教えてあげる」

「...？」

「私の力の正体...、それは私が【魔物】という種族だから、【魔物】だから【人間】と言う種族のカテゴリに含まれる貴女達より強いの、言うなれば私の体は【大帝の眷属】達の物に近いと言えば分かるかな？」

「何を言っているんですか？　そんな筈がないでしょう！　現にケロナには【魔物】らしい特徴なんてどこにも...！」

　そう呟く彼女にだけ見えるように私は舌を出しました。

　皆からは見えないように彼女に接近して舌を20センチほど伸ばしてすぐに戻す。

「これで分かった？　私は【蛙人】と呼ばれる【魔物】の一種、余りにも人に近しい生活を続けていたせいで今まで気がつけなくて悪かったと思っている」

　私の正体が【魔物】である事の証明はこれで充分だろう。

「だから...、行かせて」

「1人で...ですか？」

「ええ、貴方達を私達【魔物】の戦いに巻き込みたくないから」

「...そんなに私達が頼りないですか？　私達だって【大帝の眷属】と戦い続けてレベルも上がりました！　この調子で強くなればきっとケロナの足手まといにはなりませんよ！」

　彼女の言い分も分かる。

　彼女達も私との交流を深めて成長し、今では出会った当初とは比べ物にならないほどの成長ぶりを見せている。

　しかし、それは命を賭けた戦いに何度も赴きたまたま生き残っているだけに過ぎないのだ。

　その経験が有れば【人間】と言う種族のカテゴリに限ればかなり剛の者と言えるでしょうが、私達【魔物】のカテゴリの中ではと言うとそうでもありません。

　私の元いた世界には今のレイナ達よりも遥かに強い種族達が覇権を争い戦いあっていたのをいくらでも思い返せますからね。

　だからこそ、私は確信を持って言えます。

　恐らく【大帝】の正体はこの地の者ではなく他の地の者だと言う事に...。

　なぜなら、この世界の【魔物】はあまり強くなく、私が強者と感じた者は全て【大帝の眷属】達だったのがこの推測の確信めいた部分を突いていると思っていました。

　そんな世界に彼女達を巻き込む訳にはいかない...。

　そう考えた私は彼女の視線を見据えながら1人で旅立つ意思を告げるのでした。

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