第298話 洞窟④

 外の音を聞く限り、まだまだ雨は止みそうにない。


 あれから数時間経過したと思うけれど、ケロナお姉様達はまだ私達の事を発見できないようでした。


「一体どこまで流されてしまったのでしょうか...」


 私がそう呟くと、プラルはこう返してくれます。


「ここの川は流れが急ですぐに海の方面まで流されてしまうんですよ、だから一度流されると探索が長引いちゃうんです」


「なんだか、妙に詳しいわね」


「私も一度足を滑らせてこの川に流された事がありますからね」


「そうでしたの!? だから妙に詳しい訳なんですね!」


「ええ、でも恥ずかしい事なので皆には黙って置いてくださいね」


 彼女には口止めされてしまったが、こんな面白い事を黙って置くわけがないだろう。


 いつか時間が過ぎて彼女の事をもっと深く知った時にでも話の話題にする事にしようと決める私。


 こうして数時間の時を少女2人で過ごしていたのですが...。


 突然洞窟中に足音が響き出しました。


「何この音...」


 私がそう呟くと、プラルはこう言いました。


「この足音は...!、 私達ホビット族にとって神聖なる動物の熊ですね!」


「えぇぇぇぇぇ!!!!」


 今の私達は裸ですのに熊と戦うハメになるなんて...。


 ついてませんわ!。

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