第631話 【対価を求めた医師】④
その後も私が拳を奮うたびに体が血で染まっていく...。
血が私に降りかかる度に水で洗い流すのだが、心の中に染み付いた血の匂いまでは取れないのだ。
今にも吐きそうになるのを堪えながら私はついにペリアの元へと漕ぎ着けました。
「はぁ...はぁ...」
息を切らしながらペストマスクで表情を隠す彼女に殴りかかる!!
「死ねっ!!」
そう声を上げながら彼女に殴りかかったのだが、彼女はそれに的確に反応してきた。
普通に腕を掴まれて投げられる。
あまりにも一直線すぎる攻撃だったせいで読まれてしまったのだろう。
「ぐっ!!」
私は背中が地面に着く前に水のカーペットを作り上げて衝撃を緩和すると同時に反撃に出る!
「【ケロっとすぱいらる☆】!!」
私は指をパチっと鳴らして水の螺旋を作り上げた!
「!!」
彼女は私の螺旋に飲まれる前に戦線離脱する!
「チッ! 流石に反応が早い!」
相手は【大帝の眷属】です。
【聖典】こそこの場には無いものの、今のペリアから感じられる邪気は間違いなく【眷属】達の物と同じでした。
一体どうやって【眷属】の力に目覚めたのかは知りませんが、【聖典】が周りにないこの場合、ペリアは元々【眷属】だったと言うのが濃厚でしょう。
つまり、出会った時から彼女は私の正体に気がついていて迎え撃つ為の準備をしていたと言う事になります。
(私はきっと騙されていたんだな...)
街の人たちにタダで診察していたのも恐らく私を欺く為のカモフラージュ。
そうだと思う度に怒りの感情が燃えたぎってきました!
「許さない!」
私はそう叫びながら【極限】の力を解放し、【蒼極】の力を身に纏うのでした。
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