第710話 【眷属】の着せ替え

「ケロナちゃん似合ってるわよ♡」


 そう言われながら着せられてしまったのはメイド服でした。


「...」


「今日からはその服を着て私に奉仕して頂戴ね♡」


(絶対に嫌だ)


 と言いたい所だが言えないのが腹立つ。


 なのでここは。


「はい」


 と答えておこう。


 そして私とライファー様の日常が始まった。


 基本的に彼女はいつも暇そうに【大帝城】から外を眺めてぼ〜っとしている事が多い。


 地上ではあんな【眷属化け物共】を放っておきながら、その主犯格達はこんな風に余裕があるのだと思うだけで腹が立つし、別に何も理由がないのであれば地上の人間達に手出しをしてほしくないと思わずにはいられなかった。


「ライファー様」


「なに?」


「何故貴女様達【六帝】は地上に【眷属】を放っているのですか? ここ数日間の貴女様の行動を見てきましたが、これではまるでただ余生を過ごされているだけのようにしか見えないのですが...」


 私の言葉に彼女は笑って答える。


「そうね、ケロナちゃんの認識は間違っていないわ、私達【六帝】はただ長い命を全うしているだけに過ぎない」


「では何故【眷属】を生み出しては地上を襲っているのですか? 目的もなく破壊を行う事が貴女様方の生きがいだとでも言うのですか?」


 その言葉に彼女は不快そうな表情を浮かべる。


「ケロナちゃん? 貴女は確かに私の【眷属】になったはずよね? それともなに? もしかしてまだ【魅了】されきっていないのかしら?」


 流石に話しすぎたのか疑われてしまっているように思える。


「失礼しました、業務に戻ります」


 私がそう呟くと彼女は「そう」とだけ呟き再び暇そうに外を眺めているのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る