第167話 【シュライン】の夜③
食事を終えた私達は夢見心地のまま寝室へと案内されました。
「レイナ様はこちらでございます」
「ありがとう」
レイナはどうやら別室らしい。
私的には全員同じ部屋でも良いと言ったのだが、あちらが一人一部屋貸し出すと言ってきたのでとりあえず形式上3部屋借りることになったのだが...。
「サラ様はこちらです」
名前を呼ばれながら部屋に案内されている妹だったが...。
「うう...お姉ちゃん...」
今にも泣き出しそうな顔で私の方を見てくるサラ。
別に1日くらいどうってことないだろうに、そんな悲しい顔するなと言いたい。
「じゃあお休み、サラ」
「うん...お休み...」
私はそんな妹を送り出したのは他でもない彼女自身の為である。
たった1日くらい一人で寝ても問題ないでしょう...。
と言うかガーディン邸の騒動の時に一度私と別れて一夜過ごしたと言うのに今更なにが怖いのでしょうか?。
そう思うと私は少し笑ってしまいます。
「ケロナ様はこちらです」
「どうも」
「何かあればいつでもお声をおかけくださいね」
私が部屋の鍵を受け取ると、メイドはそう言ってどこかに行ってしまった。
「じゃあ早速部屋を確認しましょうか」
かちゃりと良い音がして扉を開く。
そして部屋に入った後でちゃんと扉に鍵をかけたのを確認する。
これでここは私だけの空間となりました。
いつもサラとレイナと一緒に行動していたので一人で一つの部屋を借りる感覚はちょっぴり新鮮です。
部屋の内装は綺麗な客室と言った感じでちょっと高い宿のような空気感が漂っている。
私的には無駄に豪華すぎるよりもこう言う方が落ち着くのでありがたい。
(客室でもこのレベルか、ガーディン邸では騙されてしまいましたが、本当はあれがスイートルームだった事を考えれば充分だね)
ガーディン邸で私とサラが止まった部屋をガーディン本人は客室だと言っていましたが、私が洗脳されて働いている時に彼自身があの部屋の事をメイド用のスイートルームと言っていたのを思い出しました。
(あの男...、自分のメイド大好きすぎでしょ、使用人にあんな広い部屋与えるなし...)
今更死んだ人の事をどうこう言っても仕方がないのですが、やはりガーディンはアホだったんだなと再確認できました。
そうこう考えているとだんだんまぶたが重くなってきたのでベッドの毛布にくるまります。
ふにゅん...、と私の体重が乗った所だけが沈む不思議な感覚のベッドでしたが、不思議と寝心地は悪くありません。
「ふぁ〜...」
そうこうしていると、疲れが出てきたのか大きなあくびが出てしまいます。
「そろそろ寝よっか...」
新鮮な空気感の中、私はゆっくりと眠りの世界へと落ちていくのでした。
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