第375話 メイアの過去⑤

 私は銀狼の剣士が近づく前に、以前倒した【光龍の瞳】を掲げました。


(杖はなくてもこのくらいなら...!)


「なに...アレ?」


 困惑するメイアとは対照的に全てを理解するエリーゼとプラルが彼女に突貫しました!


 これには勿論対応するメイア。


銀狼の剣士カイゼル! 2人を止めなさい!」


 そう叫ぶのだが彼はピクリとも動かない。


「なんで動かないの!?」


 と驚きながらもすぐさま自分の魔法を唱えようとしたので、今度は【光龍の瞳】をメイアに向ける私!!


「【死の槍デススピアー】!!」


 と大きな声で叫ぶメイアでしたが、当魔法は出現しません!


「どうして!?」


 驚きのあまり硬直する彼女に体当たりを喰らわせる2人!!


 エリーゼとプラルの体重が同時にのしかかったので「グェ...」と言う声を漏らして倒れて気絶する少女。


 メイアは完全に魔法使い寄りの性能をしていたので、もしかしたらフィジカルはそうでもないと思っていましたが、体当たり1発で沈む所を見ると私の感は当たっていた様ですね。


 主人が気絶した事に気がついた人形達が部屋に侵入してきますがこの程度の拘束ならばエリーゼさんが...。


「ふんっ!」


 と言いながら拘束具を力技で破壊しました。


「流石エリーゼさん」


 私が素直に褒めていると...。


「その言葉...、乙女的には少しショックですわね...」


 と返されたので苦笑いを浮かべる私なのでした。

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