第564話 手応え
私は討伐した証として【海龍】の角を削り使えそうな場所を解体していると...。
「ケロナさん! 遠くから見ていましたがあの【海龍ポセイディア=ルクベリアル】を討伐されたんですね!!」
船に乗ってこちらにやってくる男の声が聞こえるとそちらに振り向きました。
「ああ」
(まるで
私はそう思いながらも、解体を終えた素材を次々にアイテム袋に入れていく。
「ありがとうございます! これで村は救われました!」
感謝の意を示されてはいるものの、私はちゃんと報酬を要求しました。
「礼はいい、それよりも報酬の件なんだけど...」
私がその件について話そうとすると彼は少し気まずそうな表情を浮かべる。
「その...報酬の件なんですが...、今の私たちの村にはケロナさんを満足させれるだけの額を用意する事は恐らくできません、なのでせめて村の総力を上げてケロナさんに精一杯のおもてなしを...!」
なにやら言ってくる彼に私はこう言いました。
「ああ、そう言うのはいい、村もこれから復興に向けて頑張らないといけないだろうし、私なんかの為に大事な食料を消費する必要もない、ただこの【海龍】の素材を全て私に譲ってくれるだけでいいよ」
私は村から感謝されて【海龍】の素材の一部を取られるよりかは次の町で【海龍】の素材を売ってしまった方が得だと考えたのだ。
「それはもちろん! 【海龍】を倒したのはケロナさんなんですから全部持っていってくれても構いません! ですがそれとは別に感謝を伝えなくては我らとしても面目が立たないと言うか...」
何か言いたそうにする彼に私ははっきりと言ってやりました。
「そう言うのは余裕のある人がやれば良い、余裕のない人に感謝の意として何かを貰っても私は罪悪感しか持てないから」
「そ...そうですか」
残念そうな表情を浮かべる彼を前にして私は海面の方を見てみました。
(大分海の状況も穏やかになってきたな、【海龍】がいなくなった事によりこの辺の海域の状況も安定するでしょうし、私はこの辺でおさらばしましょうか)
「ではせめて村までお連れしますよ」
と言われたが私は拒否した。
「いやいい、もしも戻って馴染みの顔に出会ってしまってもお互いに辛いだけだし、ここは別の大陸まで行ってみようか」
「別の大陸ですか? それはまた急ですね、ですが私も娘と嫁がいるので流石にそこまでいくことはできないですよ?」
「ならばどの方角に進めば他の大陸があるの?」
「行った事はないですがここから北に進めば【フィルア】大陸がありますよ」
「その情報が今回の報酬って事で良い、邪魔をしたな」
「えっ!? それはどう言う...」
彼がそう言い切る前に私は海にダイブして水魔法で次の大陸へと凄まじい勢いで泳ぎ始めるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます