第708話 記憶の濁流
気持ちの悪い感情...。
憎悪・殺意・怒り・失望・悲観・憂鬱・落胆・苦悩と言った感情が私の中に入り込んできて嫌な気分しかしない。
(これは誰かの感情? ダメ...不快すぎる...)
自分の口に手を当てながらゆっくりとその場を後にしようとしていると、次第にそう言った感情がなくなっていき、今度は明るい感情が飛び出してきた。
幸福感・喜び・満足感・熱意・自由。
光り輝く場所に私は徐々に歩み寄っていく。
(優しくて暖かい...、これは...誰かの記憶?)
私が誰かの記憶の断片に触れた瞬間!!
ピシッと言う音と共に私の存在している空間にヒビが入る。
(なにっ!?)
私が身構えていると、その空間が崩れ去っていく!!
(ぐっ!? 今度はなに!? 大体ここはどこなの!?)
私は考えながらもその場の光景を目の当たりにして息を呑んだ。
なぜなら、最後に見えた景色が黄金の豪華な十字架に磔にされて血を流す白い髪の少女の姿だったからである。
(なんて...酷い...)
磔にされている少女の年齢はサラと同じくらいでしょうか?
その光景を見ていると怒りすら募ってくる...!
(こんなに小さい子をなんで...!)
そう思った瞬間に王様のような人物がこう叫ぶのでした。
「フリーズ=ディスティア様! 我が娘を贄に捧げました! これでご満足いただけたでしょう! 我らの国の為に動いてくださり感謝しております!」
(こいつは...なにを言っているんだ?)
理解しようとはしていても、私の頭の中が(?)一色で染まった瞬間でした。
崩れかけているこの空間が赤くドス黒い負の感情を噴き出しながら、目の前にいる王様に対してとてつもない殺意を振り撒いたのは...。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます