第365話 玩具箱の家⑪

「「「「なっ!」」」」


 私達4人はその言葉に驚きの声をあげました。


 私達の声と顔を見てニヤリと笑うメイア。


「いい表情するじゃない...、分かったら4人とも早く武器を捨てる!」


「...分かりました、皆も武器を置いてください」


「正気ですの!? ここは敵地のど真ん中ですわよ!?」


 エリーゼが叫ぶ中、地面に杖を置く私。


「ほら、白髪のお姉ちゃんは物分かりが良いわよ? 他の子達も皆武器を置いて欲しいな...」


「「「...」」」


 皆も何か言いたそうな顔こそした物の、ケロナの命がかかっている事から武器を地面に置いてくれました。


 正直言ってケロナを人質にとられてはなす術がありません。


 ここは彼女の要求を受けるべきです。


 それに...、ケロナを捕らえているのに殺していないという事は何か裏があるように思えてなりません。


 私達全員が武器を置くと今度は玩具の兵隊達に命令を出す少女。


「物分かりが良くて助かる...、お前たち、彼女達に手枷と足枷を」


 私達は抵抗する事もなく手枷と足枷を着けられました。


 私達が大人しく拘束具を着けられていくのをしっかりと見つめています。


「皆そんなにもケロナお姉ちゃんが大切なんだね...、良いなぁ...、メイアにはそう言う友達がいないから羨ましいなぁ...」


 羨ましそうに私達の事を見てくるメイアは突然こんな事を言い始めたのでこの場にいる全員が困惑する。


「なに...? 貴女は友達がいないからケロナを攫ったの?」


 私の言葉に彼女はこう答えました。


「...いいえ違うわ、ケロナお姉ちゃんには本当に私のお姉ちゃんになってもらうつもりよ」


 そう答えた瞬間にエリーゼが横槍を入れる。


「は...はぁ!? ケロナお姉様は私のお姉様ですわ!! サラならともかく、どこぞの馬の骨とも知れない貴女がケロナお姉様の妹に立候補するなんて100年早いですわ!!」


ふぅふぅと息を荒げながらそう叫ぶエリーゼに対し、メイアは静かに見つめているのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る