第556話 1人旅④
私が男の案内によって村にまで連れてこられると村人達には絶望されました。
「おいおい...あんな娘1人になにができるんだ?」
「相手は【Sランク】の魔物【海龍ポセイディア=ルクベリアル】だぞ?」
「やっぱり【光龍スペルシール】を倒したと言う冒険者を連れてくるのは無理だったのか...」
などと好き放題言われてしまいましたが、無理もないでしょう。
あちらかすれば私なんてどこにでもいる普通の【村娘】にしか見えない訳ですから。
一応私を誘ってくれた男の人が村人を説得していましたが、誰一人として私に期待を抱く人はいませんでした。
〜男の家〜
男の家に着くと早速食事と言う事になったのですが...。
「すみません...、本当は少しくらいおもてなしをしたいのですがなにぶんウチの村も食糧難でして...」
出てきたのは少量の塩と水でした。
「...」
しかも私の前に出された塩と水を物欲しそうに物陰から見てくる娘さんの姿が見えたのでなおのこと食べずらい。
見た目からして5歳くらいだろうか? ろくに食べれていないらしく体が痩せ細っているのがここからでもわかった。
ゴクリと息を飲むこむ娘さんに男は「奥で待っていなさい」と言い張り私にこう言いました。
「漁にさえ出られれば美味しい魚を取ってます! 何卒よろしくお願いします!」
と私にアピールしてくる姿を見て思わずため息を吐く。
(私なんかのために貴重な食料を分けてくれなくて良いのに...)
そう思いながらも私は彼から貰った塩を齧りました。
じゃりじゃりっとした食感を楽しみながら私は「厨房はどこにあるの?」と呟くのでした。
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