第390話 価値観の違い
私は思わずサラから100万ゴールドの魔導書をとりあげました。
「あっ!? 何するのお姉ちゃん!」
と言う妹に私は怒ります!
「サラの馬鹿っ!! いくら貴重な本だからって100万ゴールドは流石に足元見られてるでしょ! こんな本は返品よ!
私の声にサラは「そんな〜!!」と悲しげな声をあげますが容赦はしません。
全く...、こんな子供の時から100万ゴールドなんて言う大金を使ってたら金銭感覚が麻痺してしまうでしょう。
(サラは一回のお買い物で使える額を500ゴールド程度に抑えるべきね)
そう思いながら本の返品に向かおうとすると、今度はレイナに手首を掴まれました。
「ケロナ...、あなた正気ですか!? 著者が【プラム】の魔導書を
(たった100万ゴールドって...、以前サラに言った価値観の違いがこんなにも早く自分に返ってくるなんてね...)
こんな本一冊に100万ゴールドも支払えるのは、サラやレイナが【魔法使い】だからでしょう。
別にそこまで真剣に【魔導】を極めるつもりのない私からすればただの分厚い本ですが、【魔導】を極めんとしている2人にとっては100万ゴールド支払っても欲しいと思えるだけの価値がこの本にはあるのだと思います。
少し考えた後で私がレイナにこう言いました。
「分かった、この本をレイナがサラから100万ゴールドで買ってくれるのなら2人がこの本を所有するのを認めます、私は妹が100万ゴールドっていう大金をいきなり使った事に怒っているわけで、大人であるレイナが自分の意思で100万ゴールドを支払うって言うのなら話は別だからね」
私の意見に即答した彼女は、興奮したまま袋の中を漁り始め...。
「払います! いや払わせてください!」
と言いながら100万ゴールドを平気な顔で私に手渡してきたのには流石に狂気を感じずにはいられません!
(凄いな...、金の亡者であるレイナがこんな簡単に100万ゴールドを手放すなんて...、これは本当に良い本なのかも...)
そう思いながらも、やっぱり私には魔導書一冊に100万ゴールドも出そうとする2人の気持ちが全く分からないのでした。
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