第206話 【死神】エルサ⑤

「まずいですね」


 そう呟くレイナの瞳にはまだ光が残っていました。


「あれあれ〜? 怖くないの〜? 今からレイナお姉ちゃんは殺されちゃうんだよ〜?」


 信じられないと言った表情でエルサはレイナの顔を見ています。


「いいや怖いですよ、死ぬのは誰だって怖い物です...、けれど私は今少しだけ感動しています」


「何に感動しているの?」


 訳が分からないと言った表情で動けていないレイナを見つめるエルサ。


「私の全力の魔法をこれだけ食らってもほぼ無傷で立っている貴方には私のとっておきの魔法で相手をしても大丈夫だって事です!」


 彼女はそう叫んだ瞬間に地面へと魔法を放ち、砂埃をあげて詠唱の時間を稼ぐ。


「目眩しか...、けどそう遠くには行けないよね!」


 砂埃を鎌の風圧で蹴散らしたエルサの眼前にはレイナが杖を掲げて立っていました。


「さあ! 受けてみてください! これが私の魔導人生最大級の魔法! 【私の物語レイナ・エピソード】です!!」


 バチバチと白い光を帯びた電球のような物が膨れ上がって凄まじい高熱の熱線が放出されます!。


「【私の物語レイナ・エピソード】? 大層な名前をつけてるけどただの熱線だよね!? こんな物でエルサを止められると思わないでね!」


 正面から受け止めるかのように、彼女も黒い炎を捻出しレイナにめがけて放つ。


「【地獄の熱線ヘル・レイ】!」


 2人の魔法がぶつかり合い、凄まじい熱量を生んだかと思えば息をするだけで肺が焼き焦げてしまいかねないほどの灼熱のフィールドを生み出してしまうのでした。

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