第722話 アポロの真意

「前にも言っただろう、僕の目的は【大帝】様と【次元龍】様の戦いの再現、その為には【大帝】様に立ち向かう戦力も必要だろう? だからこそケロナやペリアのような戦力を消す訳には行かないんだよ、特にケロナの中には2体の【次元龍】様がいる訳だしね」


 驚く私をニヤニヤとした表情のまま見て楽しんでいるであろうアポロには心底腹が立つ。


 しかし、完全に消失したであろうペリアの登場にはもっと驚いていた。


「一体どうやって...、と言うかもしかして外から感じる無数の反応は!!」


 その言葉により一層の笑顔を見せるアポロ。


「そうだよ、僕が世界各地から集めてきた【大帝反対派の眷属アンチ・フリーズ】達さ」


 やっぱり!! 明らかに異質な力を周囲から感じます!


 私が慌てて外の様子を見るために扉を開いた次の瞬間!!


 目の前に広がっていたのは小さな集落でした。


 さっきまでは確かに無音の森の中にいたはずなのに、今では人や魔物達の声がそこら中から聞こえているのを見て驚く私。


「これは一体どうなっているの? さっきまでたしかに森の中にいたはずなのに」


 私の言葉に彼は答えてくれる。


「単純な事さ、僕がここに結界を張って外からは侵入できないようにしているだけだよ」


 彼は簡単そうに言っていますが、これだけの規模の人数を収容できる結界を維持していると言うだけでも高位の魔術師だと言うことが分かってしまいます。


「アポロ...、あんた本当に何者なの? 転移の魔法と言いこの結界と言い、人の人生...いや眷属としての人生を合わせてもこれだけの魔法を使用出来る人なんてそうはいないわよ、あんた本当になの?」


 私の言葉に彼はただ微笑を浮かべるだけなのでした。

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