第17話 裏切り

 魔術師テクアが【移動魔術】の術式を組み上げる数秒間に凄まじい攻防が繰り広げられていた。


 勇者が一度に3体の人形を斬り伏せ、僧侶ステラが暴風の魔法で囲んでいた人形達を吹き飛ばす!!。


 残った人形をピンク髪の武闘家が一瞬にして薙ぎ倒して隙を作り上げる!!。


「今だ!! テクア!!」


 勇者の掛け声と共に【移動魔術】の術式が光輝く!。


「よしっ! 皆集まれ!!」


 皆が術式の中に集まった瞬間!!。


 トンっ...。


「えっ...?」


 いきなり私の体を押し出したのは勇者パーティの武闘家だった。


「悪く思わないでね...、術式を4人以上で組む場合数秒の誤差が生まれる、ただの村娘の命と私達勇者パーティの命...、天秤にかけるまでもない」


「サーシャァァ!!!」


 勇者キィアが怒りの声をあげる中、私達だけがスラナ村に取り残された。


 その現状を見たマーカイルが私たちを嘲笑していた。


「やはり人間だな...、自分が生きのこる為ならば他人の命などどうでもいいと言う訳だ、まあそう悲観するな」


 レベル1の村娘と少女一人でレベル125のマーカイルに勝てる訳がない。


「お姉ちゃん...」


 と言う事に気がついて涙が止まらないサラの涙を私は指で拭う。


「大丈夫...、せめてサラだけは逃してあげるから...」


 気休めでもそう言うしかない状況に私は震える自分の魂を奮い立たせるのでした。

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