第434話 悲しみの力

 私の言葉に彼女は笑みを浮かべて言いました。


「ははっ...、やっぱり無理なようね...、さすがは【次元龍】の...、ただの入れ物であってもこれだけの力を持っているってことは【大帝】様が敵視していただけの事はある...」


「何を笑っているの?」


「ふふふっ...、いつかあなたは後悔する時が来るわ...、【次元龍】の存在はこの世界だけでなくでの損失なのだから...」


「...言いたいことはそれだけ?」


「ええ、後は好きにして」


 彼女の言葉を聞き取った私はトドメを刺しました。


 思いっきり頭を掴んで地面にめり込むほど力を入れた後に【蒼極】の力を解放したのですから、骨も残りません。


 蒼き力が【死神】を打ち倒したかと思っていると...。


「エルサお姉ちゃん!!!」


 と言う幼な子の悲痛な声が響き渡る!!


 私がそちらの方を見やると、メイアがこちらに向かってくるのが分かった!


 そして彼女の姉の血で真っ赤に染まる地面にめり込むかのように這いずりながら叫びまくっています。


「やだやだやだ!!! エルサお姉ちゃんが死ぬだなんて嫌だ!!」


 まるで親を失った子供のように泣きじゃくるその姿に何も思わないと言えば嘘になるが、【大帝の眷属】であるメイアにも止めを刺さなければならない。


 私は彼女の命を摘み取るために手を向けようとしたのですが...。


「エルサお姉ちゃんを殺したのは誰...? 【次元龍】? それともなの?」


 ぎょろりとした目で私のことを見つめてくる存在に私は威圧感を覚えました。


 こんなに小さい体のどこにこんな威圧感を秘めていたのでしょうか?


 いいえ...違います。


 私はメイアから威圧感を覚えたのではありません。


 彼女の持つ【聖典】が1人でにページをめくり始め、たった1人となった【死神の妹】の力となる!


「まずい!!」


 私はそう叫びながら【聖典】を破壊しようととにかかったのですが、判断が遅れてし待ったのが大きく間に合いません。


 私が飛びかかった時にはもう【聖典】の発動は終了しており、そこには大人になったメイアが存在しているのでした。

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