第249話 若頭の恋⑪

 私の魔法を打ち破った彼の一撃に、仲間たちは言葉を失っていました。


「ケロナお姉ちゃんの魔法を素手で掻き消した...の?」


「さっきのケロナの魔法は手加減をしている感じだったけど...、そうだとしても素手で...と言うのは...」


「あの男は一体何者なんですの!?」


 そんな私達とは対照的に浮き足立つ若頭サイド。


「いいぞ!! 若頭!!」


「流石俺たちの大将!!」


「あれだけの魔法を放つ姉ちゃんもすごいが、それを掻き消しちまう大将はもっとすげぇ!!」


 てんやわんやな騒動に気圧され気味の私でしたが、まだまだ大丈夫です。


 まだ一回魔法攻撃を掻き消されただけにすぎない現状で諦めるのは早計というもの。


 魔法攻撃がダメなら物理中心で攻めるだけです。


 速攻を決める為に予備動作のみを行い素早く彼に近づき三連打を浴びせたのですが...。


 パシッ、パシッ、パシッ。


 まるで私の動きを読み取っているかの如く、完璧なタイミングで3回とも攻撃を受け止められてしまいました。


 思わず舌打ちをしたくなってしまいますが、そんな隙すらも与えてくれません!。


「ほらっ、今一瞬だけど油断したよね?」


「えっ?」


 彼の足払いに気がつけず転倒させられる私。


「くっ...!」


 どうにか受け身をとってダメージを最小限に抑えるものの、体は地面に横たわってしまう!。


 その隙に彼は何度も私を踏みつけてくるので、無様にも転がって躱すしかありません!。


(こいつ...! 思ってたよりも手強い!!)


 私は彼の強さを再確認しながら、次の一手を考えているのでした。

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