第808話 VS【大帝】

 ふわふわと浮き続ける砂鉄の雲の上にて我らは陣形を組んだ。


 我を先頭に前衛職であるキィアとエリーゼが後ろに続く。


「本当はお姉様を私がお守りしたいのですが...、私の盾ではあの【大帝】の攻撃を凌ぎ切る事はおそらくできませんわ」


「俺もだ、とにかく【次元龍】に合わせるから攻撃のチャンスを作ってくれ」


 勇者の言葉にムッとするエリーゼでしたが、我はそんな彼女をなだめました。


「エリーゼ、今の我はキィアの言う通り【次元龍】だ」


「...お姉様」


 少ししゅんとしている彼女でしたが、すぐさま気を取り直したように剣を掲げる。


「中身が【次元龍】であろうとその体はケロナお姉様の物なのでしょう? ならば私が守る事は何も間違いではありませんわ!」


 皆を鼓舞する様に叫ぶ彼女の言葉に皆が勢い付いた!


 早速アルフィが我ら全員に【大聖女の加護】をかけ直すと、行動に出る!


 我が早速先行し、刀を引き抜いて奴に一太刀浴びせる!


 砂鉄を乗せた重たい龍の一撃を難なく受け止める【大帝】フリーズ=ディスティア。


「まだまだ本気を出していないでしょう?」


 と言う言葉に我はニヤリと笑う。


「当然だ! 【次元龍の加護】!!」


 我はアルフィの放った【大聖女の加護】に自分の【次元龍の加護】を重ねる。


 当然この技は自分には効果がないのだが、周りには我の装備を纏う者達がいる。


 我の漆黒の闘気が皆の武具に伝わると、その性能を更に上昇させた。


「「はっ!!」」


 勢いよく【大帝】に斬りかかるキィアとエリーゼの攻撃を彼女は氷の魔法で受け止める。


「次元龍の加護ねぇ...、確かに人間レベルであれば超強力な技だとは思うけど、私に通用するかしらねぇ?」


「ふふふ」と不敵に笑う【大帝】は軽く右腕を上げて巨大な氷柱を地面から出現させるのでした。

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