第4話 勇者の話題
とりあえずサラの話に合わせておこう。
「ああ、なんかの調査で王都からわざわざ辺境のこの村まで来るって話でしょ?」
「うん!『白銀勇者の伝説』に出てくる勇者様の生まれ変わりらしいんだよね!、格好いいのかな?」
彼女が瞳を輝かせてそう呟く中、私はその話に出てくる伝説を思い出していた。
『白銀勇者の伝説』と言うのはこの地全体に広がっている昔話の伝承的なものだ。
その昔、巨悪に世界が焼かれていた時、どこからともなく現れた『白銀の勇者』が巨悪を倒し世界を救ったと伝えられている。
私は嬉しそうに笑う彼女の頭に手を当てながら呟いた。
「きっと格好いいよ、だって世界を救う勇者様だもんね」
「やっぱりお姉ちゃんもそう思う? そうだよね〜きっと格好いいよね!」
彼女は勇者様がこの村に調査に来るのを心の底から楽しみにしているようだ。
しばらく歩いていると村が見えてきた。
「あっ! あの大きな船がそうじゃない!?」
彼女の指さす方向には大きくて立派な帆船が見える。
海流を分けながら悠々とこちらに向かってくるその巨体には存在感があった。
「お〜い!!」
彼女が大きく手を振って船に声をかけるのを、ただ微笑みながら眺める私なのでした。
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