第641話 名刀【マサムネ】

 アポロはどこからともなく手にした刀を手に取ってこう呟いた。


「名刀【マサムネ】」


「名刀?」


 彼の言った通り、その刀の刀身は美しい...。


 特にこれと言った特徴は無いはずなのに、その【マサムネ】と言う刀からは何やら威圧感の様な物を感じる。


(...なにあの刀)


 私はそう警戒しながら身構えていると...。


「来ないのか? ならこっちから行くぞ」


 レイピアの時の様に突きを繰り出してくるが、刀は突く為の武器では無い。


 彼の1番の持ち味である突きの動作も刀の重量があれば恐るに足りない。


(なんだ? アポロは刀を使った事がないのか?)


 私はそう思いながら彼の突き攻撃を受け流す。


「ふむ、やるな」


「...」


 その後も彼は刀をレイピアのように扱おうとして失敗している所を見る限り、刀については私よりも素人なようでした。


(ふざけているようにも見えないし、アポロは多分今日初めて刀を握ったんだな...!)


 そう思うと勝ちの目が見えてきました。


 私も刀に関してプロではありませんが、彼よりも扱いは上手な筈です。


 現に刀を使い始めてからの彼の攻撃は私に届いておらず、逆に私の攻撃は彼届いていました。


 ですが、結局彼の鎧を打ち崩すだけの攻撃力がなくて決定打にかけているのが現状です。


(何かないか? 奴の防御力を上回れるだけの攻撃力を持つ技は!)


 そう思っていると、彼らが話しかけてくるのでした。

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