第431話 しつこいよ、オジサン!

「何をしているんだ?」

 グルリと首を回すと、ガイコツが裕太たちに、鋭い声をかける。

「えっ」

まさか…もう見つかったのか?

裕太は、じんわりと冷や汗をかく。

『キミたちは、逃げて』

すぐにファルコンが、裕太にテレパシーを送ると、ガイコツ目掛けて

襲い掛かる。

「お前に…私を倒せるわけがないだろ」

ドクロはあざけるように笑う。

「さぁ、それはどうかな?」

ショーンが叫ぶと、ファルコンが火を噴いた。


「貸して!」

 ボンヤリとしている裕太の手から、ジュンペイは鍵を引ったくると、

すぐに鍵穴に当てる。

バン!

勢いよく、扉を開け放つと、

「早く!」

ショーンを促す。

「ありがとう」

すかさずショーンが、フェニックスを抱えるようにして、扉の外に

飛び出す。

ふと裕太は、ポケットから転がり落ちるものに、気が付いた。

「あっ」

すぐさま、しゃがみ込むと、裕太はその笛を口にくわえる。

(本当に、こんなものが、役に立つのだろうか?)

そう思いはするけれど、思い切り息を胸いっぱいに吸い込む。

そうして全身の息を吐き出す勢いで、力強く吹いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る