第363話 カゴの鳥

 崖のところで、その鳥かごがかろうじて引っ掛かり、キイキイと

音をたてている。

少しでも力が加われば、今にも落っこちそうだ。

「ジュンペイ!大丈夫か?」

思わず声をかける。

大きな鳥かごの中には、確かに男の子の姿が見て取れた。


「やっと、来たな」

 冷ややかな声が聞こえて…

サキアさんにそっくりな、ブルーの服を着た女性の姿が、鳥かごの

後ろから現れた。

「あらっ!誰かと思えば…

 サキアさん、自らお出ましとは!」

からかうように、ケラケラと笑う。

「シェーラ、おまえ…卑怯だぞ!」

早速サキアさんが、シェーラ目掛けて、突っ込んで来る。

(ところで、ショーンはどこだろう?)

ふと裕太は思い出すと、彼の姿を目で探す。

 その間にサキアさんが、シェーラのいるガケの棚になっている所に

降り立つと、円盤はすぐに、どこかへ消えて行った。

(また、迎えに来てくれるのかなぁ?)

ひそかに裕太は、そう思う。

(どうやって、呼ぶのかなぁ?)

そんなことを考えている間に、サキアさんはシェーラとの距離を、

縮めていた。

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