第364話 ステイ!

「さぁ~いい子だから、その子を返してちょうだい」

 サキアさんが、子供をあやすように手を伸ばす。

するとシェーラは髪を逆立てて、歯をむき出し

「こっちに、少しでも近寄ったら…

 この子を、カゴもろとも、突き落とすぞ!」

不穏な目付きをして、青白い手で、鳥かごをゆさゆさと揺する。

「止めろぉ~」

柵をガチャガチャと鳴らして、ジュンペイは金切り声を上げる。

「サキアさん、ジュンペイが!」

裕太が彼女を見上げると、なぜか彼女は落ち着き払った顏をして、

「大丈夫だ、心配するな」

そう告げる。

 どういうことだ?

 心配するな、と言われても…

 これは、最悪な状態じゃあないのか?


 裕太は何とか、助ける方法がないものか…と、辺りを見回す。

すると上の方から、白いものがヒュン!と飛んで来て、鳥かごの上に

乗っかる。

「えっ、なに?」

だが、その衝撃で、鳥かごはバランスを崩したようで、大きく傾く。

「ショーン!」

今まで、どこに行ってたんだよぉ~

裕太は彼に向かって、声を上げる。

キラリ…

ショーンの翼が、金色に輝く。

バサッと翼を羽ばたかせて、下に下りてくると、

「やっと、来たね!太陽の君!」

シェーラは、ニヤリと微笑んだ。

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