第209話 注文の多い巨人の家?
「どうする?」
ためらうように、裕太はジュンペイを見る。
「これって、あれだな。
『注文の多い料理店』!」
笑いながら言う。
あれって、結末はどうだっただろう?
裕太は一瞬、考え込む。
「確かさ、塩をすり込んで、小麦粉を振って…
やたらとうるさい化け猫だったよな?」
珍しくジュンペイが言う。
「そうそう!ヤマネコだったっけ?」
なんだ、知ってるのか?
すると何だか裕太も、がぜん元気になる。
「その方式でいくと…
ボクたち、食べられちゃうね!」
まったく何ら疑うことなく、無邪気に言いきるジュンペイに…
(こんな時に、悪い冗談は、止めてくれよな!)
本当に、そうなったらどうするんだ。
思わず裕太は、苦々しい顔になる。
「じゃあ、どうする?」
またもジュンペイが聞く。
玄関で言い合ってもしかたがない。
中がどうなっているのか、気になってしょうがないらしい。
ジュンペイとしては、早くこの巨人の家の中を、探索したくて
ウズウズしているのだ。
(怖くないのか?)
ソワソワとしているジュンペイに向かって、
「うーん、ジュンペイはどうする?」
ずるいやり方だ、とわかってはいるものの、一応聞いてみる。
すると、待ってました…とばかりに、ジュンペイは迷うことなく
リンとした声で、
「もちろん、行ってみる!
だって、行かないと、何もわかんないもん」
もったいないだろ、といきいきした目で言うので…
やはり、そうだなぁ~
ジュンペイらしいなぁと、裕太も心を決める。
「うーん、そうだなぁ」
そうなると、反対する、というわけにはいかない。
「わかった」
そう言うと…裕太よりも、体の小さなジュンペイが、盾になる
ようにして、さっさと先を歩き出した。
怖い…というよりも、どうしようという思いの方が強い。
迷いながらも、おそるおそる家の中へと、足を踏み入れた。
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