第210話 でっかい大木!その正体は?

「すごいなぁ」

 裕太は思わず、声をもらす。

「何が?」

ジュンペイが振り向く。

「だから…巨人の家!」


 目の前にそびえる建物は、すべてがけた違いにデカかった。

大きな扉を押し開けると、いきなりドーンと広い玄関に入る。

真っ赤でフカフカな絨毯が、床一面に敷き詰められている。

(やった!足音が響かないぞ)

ひそかにそう思っていると…

「靴を脱がずに、そのままどうぞ」

またも声が聞こえてくる。


 上がりかまちには、入り口と同じ犬が、こちらを向いて

立っている。

さすがに怖じ気づく裕太だが…

ジュンペイは違った。

「あっ、何かカッコいい犬だなぁ~

 金持ちの家にいそう~」

ジュンペイは嬉しそうに、鼻づらを触れようと、手を伸ばす。

ウ~ッ!

歯をむき出しにして、飛び掛かろうと身がまえている。

「おい、やめとけ!噛まれるぞ!」

あわてて裕太が、ジュンペイを引っ張ろうとする。

そうするとまたも、

「ジェームズ!ステイ!」

すぐ近くで、声がした。


 だれ?

顏を上げるけれど、人の姿が見えない。

目の前に、ゴツゴツとした大木のような幹が目に入る。

それがこちらに向かって、近付いてくる。

「うわっ!」

驚いた裕太が、ズデンと尻もちをつく。

「何やってるんだよぉ~

 ホント、臆病だなぁ」

ケラケラとジュンペイが笑う。


「あんたたち、何者?

 ここへ何しに来たの?」

驚いたことに、その大木から声が聞こえてきた。

正確にいうと、大木の大本から聞こえてきているようだった。

声がする方を見上げると…

そこには、でっかい巨人の女の人が、そびえていた…


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