第208話 ボクはバカじゃない!

(バカって、言うなよぉ)

 ジュンペイにバカと連発されて、むくれる裕太だ。

うっすらと開いたドアのすき間から、中をのぞき込む。

チラリと見えたのは、大きな広間だった。


「うわぁ~すごい!」

 思わず裕太が声をもらす。

「そりゃあ、巨人の家だもの~」

まるで自分のことを褒められたみたいに、ジュンペイ

は胸を張る。

「どうぞ、おはいりください」

再び声がする。

 声の主は、一体どこにいるのだろう?

裕太はキョロキョロして、探すけれど…

該当する人物は、見当たらない。


「中に入ろうぜ」

 ジュンペイは、裕太を突っつく。

でも、本当に入っても、大丈夫だろうか?

裕太は急に、不安になってきた。

まさか自分たちをおびき寄せて、オーブンに突っ込んで、

喰おう…という魂胆じゃあないのだろうか?

思わず、ジュンペイに打ち明けると

「バカだなぁ~」

またもジュンペイが言う。

「大体ヘンゼルとグレーテルでもあるまいし!

 おまえ~マンガの読みすぎだぞ!」

バカバカ言うなよぉ。

またも、頬をふくらませる裕太だ。


(それにしても、ショーンは一体、どこにいるんだ?)

彼のことを思い出すと、その姿を探す。

さっきまで、一緒にいたと思ったのに…

やはり、影も形もない。

(まさか、ボクたちを置いて逃げたのか?)

そんなことを思っていると…

「この家の主は、今おりませんが、遠慮せずにどうぞ」

さらに2人に入るよう、うながす声がした。

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