第286話 鍵穴を探せ!
見た感じ、何の変哲もない大きな壁が、目の前に鎮座している。
(そもそもここは…何の部屋だ?)
地下の倉庫?
巨大な冷蔵庫?
ボイラー室?
それとも…お宝ザックザクの隠し金庫?
裕太は、あれこれと想像する。
「ほら」
イラついた声で、ジュンペイにせかされる。
ようやく裕太は
「あっ、わかった」
目の前のツルンとした壁に、
(こんなことで、本当に開くのか?)
疑いつつも、物は試しだ、と鍵を押し当てた。
何しろ、鍵穴らしきものなんて、どこにも見当たらないのだ。
開け、ゴマ!
と口に出して、本当にあくのなら簡単なのだけど…
そんなことを思っていると、
ピシリ…
ガラスがひび割れを起こす様な音がする。
それから、小さな点が現れて、徐々に広がっていく。
まるで卵がかえるように、大きな壁に亀裂が入り、ドアのように
見えたものが、カシャンカシャンと音をたてて、
まるでジグゾーパズルのように、みるみる合わさっていく。
(すごい!壁が動いた!)
そこからグイイ…と、壁が凹んでくると、裕太たちが入れるくらいの
穴らしきものが、ポカっと現れた。
そうして、どこかでキィ…ときしむ音が聞こえると、閉じていた
その穴が、ぱっくりと口を開いた。
ジュンペイがピョンと、1歩前に飛び出すと、さっさと穴の中に
入って行く。
(えっ、大丈夫なのかぁ?)
裕太はおそるおそる、穴に首を突っ込むようにして、身体をすべり
込ませた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます