第287話 空の向こうには…

 一歩中に入ると…まぶしい光りが、裕太の目を襲う。

(うわぁ~なんだ、これ?)

 今までいた所が、薄暗かったので、思わず目がチカチカする。

慣れるまで、目をしばしばさせていると、ジュンペイがハハハと笑った。

 さっきまでいたのとは、全く別の場所に来たような…そんな錯覚さえ

覚える。

「さぁ、さっさと行こうぜ」

待ちきれない、とばかりに、裕太に向かってひと声かけると、

まるで当たり前にような顔をして、ジュンペイはひょいっと足を踏み入れた。

(何の部屋なんだろう?)

 ドキドキしながら、裕太もジュンペイの後に続く。

するとどこかから、ポロローンと心地よい音が、聞こえてきた。

「あっ、何か聞こえる~」

ジュンペイは、

「どこから聞こえるんだろう」と、音源を探して走り回る。

とはいっても、それはすぐに判明した。

 なぜならば…自動ドアのように、ずっとひとりでに、弦をかき鳴らして

いるからだ。

「なんだよ、すごーい!

 これって、やっぱり魔法?」

金色に輝くハープが、暖炉の側にチョコンと置いてあり…

まるでBGMのように、音を奏でている。

「これって、なに?琴?」

 ジュンペイが後ろに回り込み、のぞき込んでいる。

何で動くのか、不思議なのだろう。

裕太は「バカだなぁ~」と笑うと

「これはね、ハーブだよ。

 普通は手で弾いたり、押さえたりするみたいなんだけどね」

何だかちょっと嬉しそうに、ジュンペイに告げる。

「へぇ~」

ジュンペイは感心したように、この金色に輝く楽器に、見とれていた。

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