第460話 正義のヒーローは?

「えっ、なに?」

 それは…粉々に壊れた、機械の破片だった。

「なんだよ、それ!」

そんなものは…あったっけ?

裕太は、頭をかしげる。

「ほら、さっき!」

ジュンペイが座り込んだまま、ブーンと両手をヒラヒラさせて、

飛行機の真似をする。

「えっ?」

「そう!」

「あれ?」

「だから、そうなんだってば!」

「でも、あれは、ジュンペイの…」

「いいんだってば!」

まさか、そんなことがあるのか?

どうしてそれが、ジュンペイのお尻の下に?

今ひとつ、よくわからなくて、裕太は頭をかしげる。

「さっき、揺れただろ?」

「うん」

「あの時…コイツが急に、出てきたんだ」

ボンヤリとする裕太のことを、もどかしそうに見ると、ジュンペイは

まだ興奮が冷めやらぬようで、またブーンと両手を広げる。

「えぇっ?」

ようやく裕太の中で、繋がった。


「え~っ、それって!」

「すごいだろ?」

 少し遅れて、驚く裕太の反応を見て、ジュンペイは嬉しそうだ。

「まさかなぁ~持ち主を見付けて、助けてくれるなんてなぁ」

一人うなづきながら、そう言う。

「待って、待って!

 それって、どういうこと?

 わけがわかんない」

 ドローンが、犬のように?

 持ち主を見付けて、助けた?

 はぁ?

どう考えたって、裕太には、理解が出来ない。

操作した人が、いるはずだ。

 一体、誰が?

 どうして?

 どこで?

うろたえる裕太のことを、じれったそうに見る。

「だから、わかるだろ?

 元の世界の…自分だよ!」

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