第269話 ただでは消えない男
「ホント?」
「あぁ」
まぁ、もっとも…目ぼしいものは、見つからなかったけどな、
とジュンペイは笑う。
「何にもなかったけど…
でも、すごいのを見付けた!」
大げさに、ジュンペイは声を張り上げる。
「すごいのって、なんだよ?」
もしかしたら、ジャックも…
何か見つけたのだろうか、と裕太はふと思う。
「ほら!アイツを出し抜いて、今度こそ、何かを見つけようぜ!」
ニヤリと、ジュンペイは笑う。
やはりさっきのこと(カギと金庫を奪ったこと)を、ジュンペイ
は許してはいないようだ。
「そうだな」
裕太はあえて、否定はしない。
「で、すごいのって、なに?」
話をそらそうと、ジュンペイにせっつくように聞くと…
何だかもったいぶったように、ヘヘヘ…と笑う。
「見て、驚くなよ!
…隠し部屋だ!」
「えっ、何だって?」
今…何と言った?
隠し金庫ではなく、部屋?
いきなり言われて、裕太は面食らう。
「何だよ、それ!
地下の倉庫とか?」
「違うよ」
バカだなぁ~
ジュンペイは、哀れむような目で、裕太を見る。
確かに…そういうものがあっても、不思議ではない。
ようやく裕太は、そう思う。
なぜならば…巨人の家だ。
何があるのか、わからない。
(自分たちは、本当に…元の世界に、戻れるのだろうか?)
急に不安になってきた。
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